【対談】「痩せなくちゃという呪いにかかっていました」ぽっちゃりインフルエンサーが語る、"ボディニュートラル"な考え方。

PolunプロデューサーのHinaさんと、OTONA世代のla farfaモデル3名が対談を実施。

今回は、アラウンド35歳からの大人向けプラスサイズファション誌・増刊『OTONA LAFARFA』(文友舎刊)の発売を記念※して、同世代の4人が、世間の価値観と「自分」との間でもがいた10代~20代を赤裸々に振り返りながら、〈30代になったからこそ、わかったこと〉を語り合いました。

※この記事は2022年10月24日にAmebanewsにて掲載された記事となります

- INDEX -

  • OTONA世代、大事にするのは「自分に似合う」もの
  • 「痩せなくちゃ」という「呪い」
  • 「他人軸」で生きなくていい
  • 自分が「自分らしく」いるために、大切にしていること

OTONA世代、大事にするのは「自分に似合う」もの

――皆さんが洋服選びやコーディネートで意識していることはありますか?

Hina:昔は、ブランドや見た目のかわいさで飛びついてたけど、今は「自分に似合うもの」を重視するようになりました。「かわいい服」と「自分に似合う服」は違うなと。

Nao:私は最近、着ていて落ち着く服が増えてきました。私も若い頃はいろんなテイストを試したけど、“やり切った”感があって(笑)。

kaorisu:私も、10代の頃は衝動的な欲求が先にあって、髪は金髪で、服は派手派手(笑)。子供の成長や仕事をするなかで、落ち着いたトーンで自分に似合うものを選ぶ、という方向に変わってきました。

おさむ:10代~20代って、迷走するよね(笑)。

※左からNaoさん、Hinaさん、おさむさん、kaorisuさん

おさむ:私が今いちばん気にするのは、「長く着られること」
30代になると「自分はこれ」というものが固まってくるから、流行も取り入れつつ、メインアイテムは、長く着られるものがいいな。

「痩せなくちゃ」という「呪い」

ーー10代~20代の頃は“迷走”期、というワードが出ましたが、“迷走”エピソードがあれば教えてください。

Nao:私は、ずっと「自分」がない女子だったんです。好きな人に「痩せたら付き合う」と言われたら、まず30kg痩せて、、、。

Nao病んでましたね。本当は食べたいのに、食べてはいけないという自己暗示で、常にフラフラ。摂食障害で生理が止まっても、「痩せたい!」という気持ちのほうが強かった


痩せて本当に付き合ったんだけど、彼氏は「あと3kg」とか言うのでしんどかったです。その後、別れて元の体型に戻っても、痩せなくちゃっていう「呪い」は長い間解けなかったな……。

kaorisu:私も産後88kgになった時、2年で30kg落としたんだけど、無理しすぎて、お風呂場で倒れたことがあります。その頃は「水を飲んでも太るんじゃないか」って、体重が増えることへの強迫観念があって


Naoやっぱり呪いだ(笑)!

kaorisu:結局、無理やり体重を落とすと体調が悪くなっちゃう。65kg以上になってから、やっと調子がよくなりました。“自分が調子のいい”体重を知るのも大事ですよね。

Hina:私は結婚式のために12kg痩せたけど、一瞬で戻りました(笑)。でも痩せているための生活をキープできないし、我慢ばかりの人生はイヤ。食べたら増えるけど、そっちのほうが自分に素直だし、今は着たい服を着ているのでハッピーです!

 

おさむ:みんなすごいなあ。私は、今まで痩せたいと思ったことがないんです。成長とともに、すくすく大きくなっちゃった(笑)
ただ悩ましかったのは、学校の体操着とか制服とか。高校入学の時、採寸場所で「ガタイいいね!何かスポーツやってたの?」って。全然何もやってないのに。

Hina:それ、めっちゃ言われる!

おさむ:いやいや吹奏楽部でした!みたいな(笑)。プチ傷つきは、あったなあ。

「他人軸」で生きなくていい

――20代までは、どのようにファッションと向き合っていましたか?

Hina:私は、常に人と自分を比較していました。会社員で営業職だったので、みんなシュッとして、身綺麗なんです。なので、人に不快感を与えない、会社で浮かない……という「他人軸」で服装を選んでいましたね。

kaorisu:私もずっと体型がコンプレックスだったので、とにかく“体型隠し”を重視。「太っているから」と諦めて、大きめのTシャツにだぼっとしたパンツのような格好ばかりでした。

Nao:私は、当時は服装も彼氏の好みに完全依存。彼がギャルっぽい感じが好きだと言ったらその通りにしていましたね。

おさむ:私は、元々ふわっとした服が好きで、ワンピースばかり着ていた……けど、今よく考えたら、ふわっとした服=ゆったりサイズ。“入る”ものを「好き」だと思いこんでいた、のかも。

 

――大人世代になってから変化した考え方や価値観はありますか?

Hina:私は、思春期に痩せている人がもてはやされる風潮を目の当たりにして自己肯定感、自己評価が低いまま大人になってしまったんです。

まわりを見ても、太っているのは私だけ。自分は「標準」より外れているから、“ダメ”なんだって思い込んでいました。会社の宴会では、腕にハムの空き箱をつけて、「ボンレスハム!」って言わされたりして……。

kaorisu:えええ!

おさむ:それ、何ハラ!?

Hina:営業なので飲みも多くて、デブいじりのようなことも結構あって。いじられキャラでは全くなかったんだけど、そうしなきゃ居場所がない雰囲気で、辛かったな、、、。

Hina「標準」や「普通体型」といった呪縛があるからこそ、太っている自分のことが好きじゃない。もちろん自信もないし、何を着てもしっくりこない。それでも自分が着られるような洋服の情報交換がしたくて、ブログを始めたんです。

すると同じ悩みに共感してもらえたり、コーデを褒めてもらえたりしたのが、本当に嬉しくて。自分が「自分」として初めて肯定してもらえた時、「私はこのままでいいんだ」って、“人と比べない”ほうに、スイッチが切り替わりましたね。

 

Nao:私も「何着てもどうせ太ってるし…」って、ネガティブ期がありました。でもモデルになる前にしていた仕事で、タレントさんの写真をたくさん見ていた時「いろんな体型の人がいる」と気づいた経験があって。それが私のターニングポイントです。

その後la farfaモデルになると、みんなすごく明るくて、ファッションも楽しんでいる。私もいろんな服を着させてもらうことで、自分の知らない一面を引き出してもらいました。

おさむ:私もla farfaに出会ってから、こんなに仲間がいるんだ、こんなにいっぱいおしゃれの仕方があるんだ!っていう衝撃はあったなあ。

Nao:そもそも、「かわいい服は痩せなきゃ着られない」という世間からの刷り込みがすごいんだよね。

kaorisu:私はいろんなぽっちゃりの方のSNSを見て、自分の体型をネガティブには捉えなくなりました。とはいえ、今も定期的にありますよ、「なに着てもダメだ…...」って。一瞬なんですけどね。

Nao:定期的にネガティブになるのは、バイオリズムだから仕方ない部分もある。

Hina:そうそう。太っていてもいなくても同じ!

自分が「自分らしく」いるために、大切にしていること

――自分が “自分らしく”いるために、大切にしていることがあれば教えてください。


kaorisu:私は、ポジティブでいなきゃいけないっていうのは、あまり好きじゃないんです。「ボディポジティブ」という言葉に苦しめられている人もいるのかなと思っていて。
“自分を好きにならなきゃいけない”って追い込むのは、なんか違う。

だから、私は「ボディニュートラル」派。自分を好きになれない時は、無理にポジティブにならなくてもいい。ありのままの自分を受け入れようという考え方です。

おさむ:私が大切にしたいのは、他人を認めること。“自分探しの旅”じゃないけど、30代になるまでは、自分に似合うものはなんだろうとか、「自分、自分」って感じだった。

でも最近は、誰でも発信できる時代だからこそ、いろんな人が見えてきて、いろんな“素敵”があるなと思うようになりました。そういう意識をもって生きていきたいな。
人を認めたら、自分にもそれがかえってくるというか。

 

Nao:「体型で悩んでいる」という方は、大体他に悩みがあることが多いと思うんです。

「太っているから不幸」と思ってしまうかもしれないけれど、体型について悩んだ時は、何か他に自分がワクワクすることを見つけたほうがいい
そうすると、自分の体に対しても見方が変わる気がします。

視野が外に行っているか、内に行ってるかで、自分のスタンスも全然違う。だから、私も視野を広くもっておきたいとは思っていますね。

Hina:私は、やっぱりフォロワーさんたちにポジティブにしていただくことがすごく多いんです。
「Polun」で下着を発売して「こういうのが欲しかった!」という声をいただくと、自分のやっていることは間違ってないと思える。

そしてそれは、自分が自分らしく、ぽっちゃりでいていいんだなっていうマインドにも繋がっている気がします。

――最後に、今後の夢や抱負を教えてください。

おさむ:私は誰かの選択肢の一つに、自分がなりたい。そのために、今まで自分が学んできたこと、培ってきたことを、たくさん発信していけたらいいな。

kaorisu:もっと、私なりのファッションを届けられたらいいなと思っています。インスタやモデル活動を通して、「参考にしました」とか「買いに行きました」という声をいただくと、誰かの生活の“プラス”になったんだなって、本当に嬉しい。今後も活動の場を広げていきたいです。

おさむ仲間がいるって思ってもらえるの、いいよね。

Nao:私は「痩せなきゃ」という呪いにかかっているぽっちゃり女子たちが、少しでもいいマインドになれるようなことをやっていきたい。
まあでも、私が自分の人生を楽しむことが、いちばん大事かな!

Hina:向かう方向はみんな一緒だね。
私も、あなたはあなたのままでいいんだよ、と思ってもらえるようなことをしたいなと強く思います

変にボディポジティブ、ぽっちゃりさんってかわいいよねみたいなのも、好きじゃない。
きれいになる手段として、ダイエットをする人を否定するわけでも全然ない。

どんな人も、いち個人として、“普通”に人生を楽しめるようになったらいいなあと思います。

https://news.ameba.jp/article/hina_lafarfa
※2022/10/24にAmeba Newsにて掲載

取材・文:吉河未布
編集:AmebaNews編集部
撮影:山口真由子